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Oyama Sausage Co.
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![]() ![]() ![]() Christine Van der Lieck |
ちょっと前まで、うちはほぼ完全な菜食家庭だった。玄米に豆腐や野菜中心のおかず、時折それに卵を加えたりする他は、肉と名がつくものはなし。玄米菜食にしてから、夫の慢性的な鼻炎が完治したことも理由のひとつだった。 それがいつの頃からか、少しだけならいいよねって感じで、月に1、2回、鶏肉や魚を食べるようになった。息子たちが大きくなってきて外の味を覚え始め、特別な日にはチキンね!と欲しがるようになってきたし。夫は相変わらずお坊さんのような食事を好むけれど、うちの菜食は宗教や主義に基づいたものじゃなし、子供にまで強いるにはちょっと無理がある。「僕は小さい頃、肉が食べたかったんだぁ〜!」と将来グレられても困るし(笑) でも、添加物や混ぜものがてんこ盛りのハムやソーセージは、百害あって一利なし、子供には食べさせたくないものの代表格。学校で月に一度出される給食のホットドッグは死ぬほどまずいらしく、うちの子は口にしたがらない。自然食料品店で販売されているベジタリアン用豆腐ソーセージも人工的な味がして、お世辞にも美味しいとは言えず、一度買ったきり。お弁当にハムサンドがほしいとねだられて、どこで買おうかひたすら迷う日々。 そんなある日、久々にグランビルアイランドのパブリックマーケットを歩いていると、Oyama Sausage Co. という看板が目に入った。大山さん?日系人の店?と興味をひかれ、ふらふらと店に近寄る。ショーケースに並ぶのはかなりの種類のハムやソーセージ。そのほとんどが見たこともないもので、名前もドイツ語だったり、フランス語だったりで、なかなかすんなり読みこなせない。 へえ〜と眺めていると、「サンプルはいかが?」とお店の人がお皿を差し出してくれた。その笑顔にうながされるままハムを一切れもらって口に運ぶ。あれま、ちょっと、美味しいじゃない! スーパーのデリで売られているものはどうにも塩辛く、舌にかすかな苦みが残る気がして、めったなことでは買わないけど、これはなんだか違う。肉の風味が生きていて、旨味が濃い感じ。 笑顔の素敵なその女性はオーナーのクリスティーン・バン・デル・リック さん。ご主人のジョンさんはドイツのバイエルン州に5代続くソーセージ製造業の家に生まれた。ドイツといえば、歴史的に手工業を重んじるお国柄。パン職人やガラス工芸家などを目指す若者が5年以上修行した上で専門学校に通い、資格試験に合格すれば、技能と理論を完全に身につけた人=マイスターの称号が与えられ、立派なプロの職人として社会的な地位を獲得する。ジョンさんもマイスターになったあと、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、オーストリアでさらに技術を磨き、カナダに移民した。 定住先を探している時に、BC州の内陸部オカナガン地方の風光明媚な町オーヤマが故郷に似ていると気に入リ店を構える。工場生産のハムやソーセージが幅をきかせる北米で、あくまでも手作りの少量生産にこだわった。新鮮な材料やハーブ、スパイスを駆使して、一切の添加物を排除し、ホンモノの味を作り続ける頑固なまでの姿勢がプロの料理人にも知られるところとなり、バンクーバーやシアトルからも注文が舞い込むようになった。 レストランや顧客の熱い要望にこたえるため、2001年6月、グランビルアイランドに移転。多民族が行きかう街らしく、故郷の南アフリカのソーセージが食べたい、ポーランドの母親を思い出すパテがほしいなどの特別注文にも研究を重ねて製品化する。そうやって増えた製品は300種以上。ただし、一回の製造量を少なくして、常に新鮮な製品が並ぶようにしているので、一部の定番を除き、一度買ったソーセージが次の時もあるとは限らない。中には作るのに8ヵ月もかかる製品もあるそうだ。 |
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たぶん一番種類が多くて、店頭に並ぶ顔ぶれがしょっちゅう変わるのが生ソーセージ。一度食べて美味しかったヴァイスヴルストという白いソーセージにも、あれ以来お目にかかってない。お目当てのソーセージがあればラッキー!という気分になる。
生ハムといえばイタリアのプロシュート・ディ・パルマ Proschiuto di Parma。子供の時には、なんでメロンにハムをのっけて食べるのか理解できなかった。でもちょっとだけ舌が肥えた今なら分かる気がする。生ハムはフルーツと相性がいいのね。特に塩気が多いから、塩分を体外に排出するカリウム分が多い果物と食べ合わせるのは理にかなってる。
オーヤマにはハムやソーセージだけでなく、パテやレバーペーストなどの加工品もある。Duck Confit は鴨の骨付きもも肉を自然塩とハーブで6時間以上漬け、鴨の脂でおおって保存したもの。オーブンで温め直すと、脂は溶けてなくなる。フォークでさわると骨からほろりと外れるほど肉がやわらかい。高級レストランのメニューにも見かけるが、このフランス伝統の保存法を守っているところは少ないらしい。
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買いに来た人を見ていると、注文して包んでもらったものとは別に、Turkey Wiener や Pepperoni Sausage を紙ではさんでもらって、その場で食べている。これらの加熱製造したソーセージは調理せずに食べられるので、マーケットのパン屋さんでホットドッグバンを買って、簡単なランチにするのもいい。また、この店はチーズの種類が豊富なことでも有名。ヨーロッパ直輸入の品も多いので、ソーセージと合わせて味わいたい。 グランビルアイランドのマーケットはいつも混んでいて、車を停めるのも一苦労。ねらい目の時間帯は朝一番。私はよく子供を学校に送り出したら直行している。朝ならお店も比較的ヒマなので、あれこれと試食する余裕もある。定番のハムやソーセージからちょっと冒険して、新しい味を開拓してみたい。 ちなみに、オーヤマの町名は、日露戦争(1904〜05)の陸軍大将、大山巌にちなんで名付けられたもの。当時、日本はイギリスと同盟関係にあり、大山の指揮する日本軍がイギリスの宿敵ロシアを破ったというので、喜んだイギリスからの移民が町名を「オーヤマ Oyama」に変えたとか。トルコの人々も東洋の小国日本が宿敵ロシアを破ったと聞いて、時の連合艦隊司令長官、東郷平八郎の名にちなみ、イスタンブールの通りの名を「トーゴー Togo」に変えている。同時期に国を隔てて同じようなことをしているのがおもしろい。 Updated: Oct. 2006 |
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