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Oyama Sausage Co.
オーヤマ・ソーセージ

Granville Island Market
#126-1689 Johnson St.
Vancouver, B.C.
tel 604-327-7407
fax 604-241-7437

営業:毎日 9:00〜19:00
定休:12月25・26日、1月1日
駐車:近隣で3時間駐車可能


Oyama Shop

ham

Christine
Christine Van der Lieck
ちょっと前まで、うちはほぼ完全な菜食家庭だった。玄米に豆腐や野菜中心のおかず、時折それに卵を加えたりする他は、肉と名がつくものはなし。玄米菜食にしてから、夫の慢性的な鼻炎が完治したことも理由のひとつだった。

それがいつの頃からか、少しだけならいいよねって感じで、月に1、2回、鶏肉や魚を食べるようになった。息子たちが大きくなってきて外の味を覚え始め、特別な日にはチキンね!と欲しがるようになってきたし。夫は相変わらずお坊さんのような食事を好むけれど、うちの菜食は宗教や主義に基づいたものじゃなし、子供にまで強いるにはちょっと無理がある。「僕は小さい頃、肉が食べたかったんだぁ〜!」と将来グレられても困るし(笑)

でも、添加物や混ぜものがてんこ盛りのハムやソーセージは、百害あって一利なし、子供には食べさせたくないものの代表格。学校で月に一度出される給食のホットドッグは死ぬほどまずいらしく、うちの子は口にしたがらない。自然食料品店で販売されているベジタリアン用豆腐ソーセージも人工的な味がして、お世辞にも美味しいとは言えず、一度買ったきり。お弁当にハムサンドがほしいとねだられて、どこで買おうかひたすら迷う日々。

そんなある日、久々にグランビルアイランドのパブリックマーケットを歩いていると、Oyama Sausage Co. という看板が目に入った。大山さん?日系人の店?と興味をひかれ、ふらふらと店に近寄る。ショーケースに並ぶのはかなりの種類のハムやソーセージ。そのほとんどが見たこともないもので、名前もドイツ語だったり、フランス語だったりで、なかなかすんなり読みこなせない。

へえ〜と眺めていると、「サンプルはいかが?」とお店の人がお皿を差し出してくれた。その笑顔にうながされるままハムを一切れもらって口に運ぶ。あれま、ちょっと、美味しいじゃない! スーパーのデリで売られているものはどうにも塩辛く、舌にかすかな苦みが残る気がして、めったなことでは買わないけど、これはなんだか違う。肉の風味が生きていて、旨味が濃い感じ。

笑顔の素敵なその女性はオーナーのクリスティーン・バン・デル・リック さん。ご主人のジョンさんはドイツのバイエルン州に5代続くソーセージ製造業の家に生まれた。ドイツといえば、歴史的に手工業を重んじるお国柄。パン職人やガラス工芸家などを目指す若者が5年以上修行した上で専門学校に通い、資格試験に合格すれば、技能と理論を完全に身につけた人=マイスターの称号が与えられ、立派なプロの職人として社会的な地位を獲得する。ジョンさんもマイスターになったあと、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、オーストリアでさらに技術を磨き、カナダに移民した。

定住先を探している時に、BC州の内陸部オカナガン地方の
風光明媚な町オーヤマが故郷に似ていると気に入リ店を構える。工場生産のハムやソーセージが幅をきかせる北米で、あくまでも手作りの少量生産にこだわった。新鮮な材料やハーブ、スパイスを駆使して、一切の添加物を排除し、ホンモノの味を作り続ける頑固なまでの姿勢がプロの料理人にも知られるところとなり、バンクーバーやシアトルからも注文が舞い込むようになった。

レストランや顧客の熱い要望にこたえるため、2001年6月、グランビルアイランドに移転。多民族が行きかう街らしく、故郷の南アフリカのソーセージが食べたい、ポーランドの母親を思い出すパテがほしいなどの特別注文にも研究を重ねて製品化する。そうやって増えた製品は300種以上。ただし、一回の製造量を少なくして、常に新鮮な製品が並ぶようにしているので、一部の定番を除き、一度買ったソーセージが次の時もあるとは限らない。中には作るのに8ヵ月もかかる製品もあるそうだ。

腸詰めにしたあと、スモークせずにそのまま茹でるので白くなるヴァイスヴルスト Weisswurst

フォアグラを40%も使った贅沢な味わいのパテ、パッフェ・ド・フォアグラ Parfait de Foie Gras、薄切りのパンに塗っておしゃれなランチに


Smoked Turkey Breast
Black Forest や Smoked Turkey Breast はサンドイッチの定番。オーヤマ・ソーセージの製品は塩加減がちょうどよくて、嫌みな味がない。保存料が使われていないので日持ちがしないから、必要な量だけを買って、できれば2、3日中に使い切るようにしたい。冷蔵庫で保存する時には、乾かないようにビニール袋ごとタッパーに入れること。

Rosette de Lyon
特筆すべきはサラミの種類の多さ。まるで聞いたこともないような製品がずらりと並んでいる。その中でもロゼッタ・ド・リヨン Rosette de Lyon は親しみやすい味。バターを塗ったライ麦パンにはさんで食べると格別に美味しい。少し厚めに切ってもらって、ピザの具にしてもいい。塩分が多いのでハムよりは保存がきくが、やはり乾燥させないこと。ハムやサラミは試食ができる。味見したいものがあれば、気軽に頼んでみよう。

たぶん一番種類が多くて、店頭に並ぶ顔ぶれがしょっちゅう変わるのが生ソーセージ。一度食べて美味しかったヴァイスヴルストという白いソーセージにも、あれ以来お目にかかってない。お目当てのソーセージがあればラッキー!という気分になる。

Maple Syrup Pork
うちの子供が好きなのは Maple Syrup Pork や Honey Pork といったほんのり甘味系。ディルなどのハーブをたっぷりきかせた Herb Chicken も美味しい。Japanese Chicken はショウガ、みりん、日本酒をたっぷり含ませた芳醇なお味。どう考えてもヨーロッパにはないから、ジョンさんの創作に違いない。

Japanese Chicken
生ソーセージは冷凍保存ができる。ビニール袋のまま平らにして、できればもう一重 Ziploc などの冷凍保存袋に入れると完璧。焼く時には解凍せずにそのまま熱したフライパンへ。蓋をして中温でじっくり焼くと中まで火が通る。焼いている途中で切り目を入れると美味しい肉汁が出てしまうので、切り分けるのは焼き上がって少し冷めてから。

生ハムといえばイタリアのプロシュート・
ディ・パルマ Proschiuto di Parma。子供の時には、なんでメロンにハムをのっけて食べるのか理解できなかった。でもちょっとだけ舌が肥えた今なら分かる気がする。生ハムはフルーツと相性がいいのね。特に塩気が多いから、塩分を体外に排出するカリウム分が多い果物と食べ合わせるのは理にかなってる。

Shinken Speck
でも私のお気に入りは、なんと言ってもシンケンシュペック Schinkenspeck。生ハムとベーコンの中間のようなやわらかさで、乳酸発酵しているので発酵バターのような舌にとろける味。香りも優雅この上ない。お店の人は時間をかけて透けるほど薄く薄く切ってくれる。もし季節が合えば、イチジクの小片に巻いて食べるのが一番おすすめの食べ方。

オーヤマにはハムやソーセージだけでなく、パテやレバーペーストなどの加工品もある。Duck Confit は鴨の骨付きもも肉を自然塩とハーブで6時間以上漬け、鴨の脂でおおって保存したもの。オーブンで温め直すと、脂は溶けてなくなる。フォークでさわると骨からほろりと外れるほど肉がやわらかい。高級レストランのメニューにも見かけるが、このフランス伝統の保存法を守っているところは少ないらしい。

Frikadelle
もうひとつおすすめなのはフリカデル Frikadelle、要するにハンバーグね。ドイツ北部の主要都市ハンブルクで、安い挽肉を固めて焼いてソースをかけて労働者に出したのがハンバーグの語源といわれてるけど、実際にドイツでハンバーグといっても通じない。フリカデルが正式名称。これは買ったらそのまま食べられるので、おやつにも最適。いつも作るわけではないらしく、めったにお目にかかれないのが残念。見つけたら絶対私の分も買っておいて〜(笑)

買いに来た人を見ていると、注文して包んでもらったものとは別に、Turkey Wiener や Pepperoni Sausage を紙ではさんでもらって、その場で食べている。これらの加熱製造したソーセージは調理せずに食べられるので、マーケットのパン屋さんでホットドッグバンを買って、簡単なランチにするのもいい。また、この店はチーズの種類が豊富なことでも有名。ヨーロッパ直輸入の品も多いので、ソーセージと合わせて味わいたい。

グランビルアイランドのマーケットはいつも混んでいて、車を停めるのも一苦労。ねらい目の時間帯は朝一番。私はよく子供を学校に送り出したら直行している。朝ならお店も比較的ヒマなので、あれこれと試食する余裕もある。定番のハムやソーセージからちょっと冒険して、新しい味を開拓してみたい。

ちなみに、オーヤマの町名は、日露戦争(1904〜05)の陸軍大将、大山巌にちなんで名付けられたもの。当時、日本はイギリスと同盟関係にあり、大山の指揮する日本軍がイギリスの宿敵ロシアを破ったというので、喜んだイギリスからの移民が町名を「オーヤマ Oyama」に変えたとか。トルコの人々も東洋の小国日本が宿敵ロシアを破ったと聞いて、時の連合艦隊司令長官、東郷平八郎の名にちなみ、イスタンブールの通りの名を「トーゴー Togo」に変えている。同時期に国を隔てて同じようなことをしているのがおもしろい。

Updated: Oct. 2006




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