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Prior House Inn B&B
ビクトリアの優雅な空間
プライアーハウス・イン

620 Saint Charles St.
Victoria, BC

tel 250-592-8847

料金:一室$119〜299
支払:現金、Visa, Mater
予約:要
駐車:玄関右手、無料







Edward Gawler Prior
(1854〜1920)

カナダは独立自治国家でありながらも、英国のエリザベス女王を国家元首とする英国連邦の立憲君主国。女王の名代がカナダ総督 Governer General で、各州政府には副総督 Lieutenant Governor が女王の代行を務める。実質的には首相や議会、州首相が実権を握っているので総督・副総督に政治的権力はなく、あくまでも象徴的存在。

ライブラリーにはビデオもそろっている。夜は客室でゆっくり映画鑑賞を。

ロイヤルスイートのバスルームにある洗面台。蛇口までが優雅な白鳥の形。

ペントハウスのバスルーム。天窓から星を眺めて、ゆったりとお湯につかれば最高の気分。

ペントハウスの小さなベッドルーム。斜めになった天井が隠れ家みたいで、落ち着いてよく眠れる。

ジュースやシリアル、ナッツたっぷりのミューズリは窓際のカウンターからセルフサービスで。

優雅なテーブルセッティングも雰囲気を盛り上げる。テーブルクロスと金色のプレートが華やか。

焼きたてマフィンもとても美味しい。リンゴやブルーベリーがたっぷり。

1867年まで英国の植民地だったカナダ。1931年の独立後も英国とのつながりは深い。特にかつての英国領ブリティッシュ・コロンビアの首都、いまのブリティッシュ・コロンビア州の州都である古都ビクトリアには、英国の栄華の名残がいまも馥郁と香る。

旅行者の多くはその古き良き時代の雰囲気に浸りたくて、ビクトリアの中心地インナーハーバー Inner Harbour に面した由緒あるエンプレス・ホテル The Empress に泊まる。もちろんそれもすばらしい思い出には違いないけれど、100年前の名士がどんなところで暮らしていたのか実際に体験してみたいなら、おすすめするのは断然プライアー・ハウス。


ビクトリアのダウンタウンから車で10分ほどの高級住宅地にあるこのB&Bは、英国統治時代の1912年にカナダ副総督の邸宅として建てられた由緒ある建物。名前は、英国王ジョージ五世の名代として仕えたこの館の主、エドワード・G・プライアー副総督に由来する。

白壁に黒い木組みが浮き出た典型的な後期チューダー様式の外観を見ながら、正面玄関の階段を上がる。重いオーク材の扉を開けると、左手のリビングルームに目を奪われた。天井まであるクリスマスツリーに灯がともり、暖炉の薪が静かに燃えていて、もうそれだけで一幅の絵になっている。「ふだんはもっと落ち着いたたたずまいなんですよ」とにこやかに出迎えてくれたのは、オーナーのキャンディスさん。「春から秋にかけてはお庭の花が目を楽しませてくれますが、冬は見るべきものがないので、代わりに室内の様子を楽しんでいただいています」 玄関ロビーの暖炉にも、真夏をのぞいて毎日欠かさず火を入れるとか。確かに火の消えた暖炉では、心なしか寂しい気分になる。

室は全部で6室。予約をしていても、いくつか空いているなら、入る前に見せてもらえばいい。特筆すべきは副総督の寝室だった2階のロイヤルスイート Lieutenant Governor's Royal Suite。1880年代のものだというキングサイズの天蓋付きベッドが中央にあり豪華な雰囲気。薪をくべる暖炉も100年前そのままのもの。バルコニーに出ると、木立の向こうに海が見える。副総督や夫人も、毎朝この窓辺に立ち、移りゆく季節の眺めを楽しんだに違いない。窓際にはゆったりと座ってくつろぐスペースもある。ここならふだん忙しくて手に取れない長編小説も一気に読んでしまえそう。それともやわらかな日差しにまどろんでしまうかな。


ロイヤルスイートのバスルーム

実はこの部屋にはもう一つ驚くべきことがある。それは広々とした豪華なバスルーム。うちのリビングルームとキッチンを合わせてもまだ足りないくらいの広さで、中央にマッサージ用のベッドが置かれ、隅には2人用のジャクジーが存在感を放っている。壁の一方は全面鏡張りで、隠しドアをそっと押すと、お手洗いやミニバー、クローゼットになっている仕掛け。

屋敷のたたずまいはクラシックだが、全室にジャクジーが付き、インターネットにも接続できるので設備はモダン。雰囲気だけでなく居住性に優れているのが5つ星の理由。ゆっくりジャクジーにつかっていると、外出する気がなくなるかも。

屋根裏部屋に憧れるという人におすすめしたいのは、3階のウィンザー・ペントハウス・スイート Windsor Penthouse Suite。2階から折れ曲がった細い階段を上がり、小さな白い扉を開ける。大きなスーツケースを持っていたら、ちょっとここは大変かも。昔は女中部屋だったのか、それとも子供部屋だったのか。ロイヤルスイートに比べれば部屋の作りは小さいが、日本人にとってはきっと心からくつろげる手頃なサイズ。それでもクイーンサイズの天蓋付きベッドがあり、ゆったりと座って本が読めるソファもある。館の最上階だから、バルコニーからの眺めも格別。夏なら窓を開け放って、さわやかな風を招くと気持ちいい。こんなところに長期滞在してみたいなぁ。


このペントハウスにはクイーンサイズベッドのある小部屋がついているので、4人まで滞在できる。バスルームも広々していて清潔。電子レンジや冷蔵庫がついた小さなキッチンもあるので、2〜3日連泊したい時には何かと便利。紅茶やハーブティーのティーバッグも用意されている。

このほか、庭に面して別入口があるホビット・ガーデン・ステューディオ Hobbit Garden Studios も人気の部屋。クイーンサイズのベッドルーム1室か、4人まで宿泊可能なキング&ソファベッドの2室が選べる。5つ星クラスの豪華なB&Bでは子供の宿泊を断るところが多いけれど、プライアー・ハウスではこのホビットに限り、小学生以上なら子供連れでも宿泊可能。これなら多少どたばたしても下に響く部屋がないので安心。

チェックインは3時から。夕方5時まではアフタヌーンティーのサービスがあり、到着時間を知らせておけば焼きたてのスコーンを出してくれる。ワゴンに並べられたアンティークカップから、好みのものを選んで香りのいいお茶を注ぎ、リビングルームや隣のライブラリー、春夏なら庭を見下ろすバルコニーなど好みの場所を見つけてほっと一息。

ちょっと落ち着いたら、今夜のレストランを決めよう。リビングルームにはおすすめレストランのメニューブックがあるので、アフタヌーンティーを楽しみながら好みの店を探すのもいい。店が決まれば無料電話で予約して、ついでにタクシー会社にも連絡して配車を頼むこと。ダウンタウンとプライアー・ハウスの間は市バス(11番・14番)でも往復できるが、本数が少ない上に夜は早じまい。タクシーならチップを入れても片道$8〜9の距離なので、2人以上ならこの方が早くて便利。ビクトリアではタクシーを賢く使いたい。

B&Bに泊まる楽しみのひとつは朝食。客室に持ってきてもらうこともできるが、せっかくだから豪華なシャンデリアの下がるダイニングルームで優雅にいただきたい。壁や天井に使われているオーク材も、100年前と変わらぬ美しさを保っている。


ベネチアからの直輸入

朝食はまず新鮮な果物で始まる。季節によってメロンだったりイチゴだったりとほぼ日替わり。ほんのり甘いヨーグルトソースが果物の香りを引き立てる。眠気の残る体に冷たい美味しさがしみわたって、一日の始まりにふさわしい。

朝食のメインは、季節やその日によって変わる。食べ物の好き嫌いやアレルギー、減塩など特別な食事の希望があれば、必ず予約の時点かチェックイン時に伝えておこう。本当に食べたいものを美味しく心おきなく食べてもらうために、専属シェフが細心の注意を払って用意してくれる。

この日のメインはカリッと焼いたベルギー風ワッフルに自家製ブルーベリーソースとデボンシャークリームをかけたもの。それにカリカリベーコンが添えられている。また別の日のメインは、オーツ麦粉のパンケーキで、さくっとした歯触りが美味しい。自家製ラズベリーソースとオレンジソースがさわやかな色と酸味を添えている。


これだけたっぷり朝食をいただいたら、お昼は食べずに、どこかでちょっと早めのアフタヌーンティーにしてもいいかも。でもアンティークを眺めながらフォート通り Fort Street を歩いたら、やっぱりお腹がすくだろうし。ちょっとがんばってマフィンも食べておこうかな。

完成までに3年を費やしたこだわりの邸宅で、プライアー氏は1920年に他界するまでの8年間を過ごした。政治家として浮沈の時を経験した彼も、晩年はビクトリア商工会議所の会長やカナダ副総督といった名誉職を歴任。英国ヨークシャーで牧師の次男坊として生まれ、遠くカナダ西端の地で立身出世を果たした彼が、遙かなる故郷を思いながら過ごした最後の日々は心穏やかなものだったに違いない。

時代を映す壮麗な建物もいいけれど、当時の人々の暮らしぶりがそこかしこに偲ばれるこんな宿こそ、昔日の趣を残すビクトリアの思い出にふさわしい。

Updated: Dec. 2005




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