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水を守る
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| 水不足にあえぐ大都会 午前2時。開きっぱなしの蛇口から、突然、水がほとばしる。「来たーっ!」と叫びながら、あわてて大きなポリバケツに2杯貯め、飲料水の空きボトルや鍋、やかん、果てはコップに至るまで、手当たり次第に水を張る。バスルームでは、ルームメイトが深夜の入浴開始。順番を待つのももどかしく、まだ何かに水をためられないかと容器をあさる私……。 1990年4月、トルコ最大の1000万人都市イスタンブール。地方からの移住者急増、住宅や上水道の供給遅滞、さらに深刻な雨不足が招いた突然の給水制限。昔日を思わせる風情に引かれて旧市街に住んだはいいが、古いアパートには貯水タンクがない。給水は週2晩のみ。階下の住人が順番に使い始めて、4階に住む私たちにまで水が回ってくるのは、いつも真夜中から明け方近く。朝7時に水が止まるまで、皿洗い、入浴、選択、掃除と、深夜の狂騒が続く。
乾き切った街にはほこりが舞い、樹木は灰茶色にくすみ、どの車も同じように土気色。それでも人々は明るく、努めて平素と変わりなく働き生きていた。真夜中に水を迎えて大騒ぎしているのは、いずこも同じと知っているから。 恨めしいほどに暑い夏が過ぎ、秋の気配が濃くなる頃、ようやく毎日朝晩2回の給水になった。新市街の貯水タンク付きアパートに引っ越してからも、いつまた水が止まるかとビクビクし、水を貯め置くクセがなかなか抜けなかった。日本に里帰りして、公園に噴水を見たとき、「うわー、もったいない!」と呆然とした私。 でも、水不足に悩む都会はイスタンブールだけではない。日本でも、カナダでも、アメリカ各地でも、水不足と水質汚染は年々深刻になりつつある。 |
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| 生命を支える水の循環 水は地表の7割を占める。この太陽系で、なぜ地球にだけ水があるのか。地球の創世記に地殻変動があり、火山の爆発で発生した大量の水蒸気が冷えて海になったという説や、巨大な氷塊のような隕石が地球に衝突したという説もあるが、詳しいことはまだわかっていない。ただひとつ確かなことは、水はもうどこからも来ないということ。 海や河川、地面、植物から蒸発した水蒸気は、雲となり、雨や雪となって地表に降りそそぐ。その水は集まって地下水や河川を経て、やがてはまた海に戻る。「蒸発」→「雨・雪」→「地下水・河川・海」→「蒸発」と地表と大気の間を巡り、水は太古の昔から減ることも増えることもなく、延々と地表で循環をくりかえしている。
地球に出現して以来、人類は他の生命体と同じく水を汚染してきたけれど、それは土壌や海水の浄化作用で十分まかなえる程度のものだったらしい。だが、19世紀の産業革命以降、世界中で人口が爆発的に増え始め、水の汚染も加速度的に進む。自然の浄化作用ではとても追いつかなくなり、ついには水が汚れたまま循環し始めた。 地球上のあらゆる海域で魚が捕れなくなっているのも、飲料水が塩素消毒なしでは飲めなくなっているのも、すべて私たちが汚してきた水のツケを払っているに過ぎない。 どうすれば水を汚さないですむのか。答えは簡単には出ない。私たちは生きている限り、水を汚し続ける宿命にある。でもほんの心がけ程度、暮らしのあり方を変えるだけで、水の汚染を少しでも食い止めることができる。 |
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| 家庭で今日からできること ☆☆☆ 富栄養化の原因になる洗剤を家庭に持ち込まない ☆☆☆ 1930年代までは、食器を洗う水から出る化学薬品は、生物分解が確実にできる石鹸だけで、かなりの濃度になっても水辺の生物には害がなかった。ところが、過去70年間でリン酸塩 phosphate や合成界面活性剤を含む台所用・洗濯用洗剤、シャンプー、ハンドソープの使用が増え、水の自然浄化バランスが狂ってしまった。
湖の富栄養化が深刻なスイスでは、リン酸塩の入った洗剤は全面的に使用禁止になっている。台所や洗面所に、無リン洗剤や石鹸を選んで、体も心もスッキリしたい。 ☆☆☆ 化学肥料を使わないオーガニック野菜を選ぶ ☆☆☆ 農薬の人体への影響は声高に叫ばれているので、今更説明は必要ないかもしれない。でも畑にまかれる化学肥料の害は、どれだけ知られているだろうか。 化学肥料には窒素の仲間である硝酸塩 nitrate salt が含まれている。根から吸われた硝酸は葉で光合成によりタンパク質やアミノ酸などに変わるが、余った硝酸塩は主に葉にたまる。高濃度の硝酸塩は血液中のヘモグロビンが酸素を運ぶのを邪魔する。 つまり、せっかく健康のためにベジタリアンになっても、オーガニックでない野菜ばかり食べていると、ひどい貧血を起こすことになる。裏ごししたホウレンソウの離乳食も、オーガニックでなければ危険。乳幼児は胃液が少ないので、硝酸塩を分解できず、すぐにチアノーゼ状態になってしまい、命に関わることも。
化学肥料を使わないオーガニック野菜を食卓に選ぶことは、水質汚染防止だけでなく、私たちの健康にも直接関わってくること。毎日美味しいものを食べて、同時に水も守ることができる。こんなに素晴らしい方法を実行しない手はない。 |